奈良の母が抗がん剤の副作用により、ご飯が食べづらくなっていた頃、長野の姉夫婦が「甘酒」を送ってくれました。
「飲む点滴、って言うぐらいだから、お母さんにどうかと思って。」と。
もう一人の姉夫婦からは、ちりめん細工のお月見の飾り物が送られて来ました。
「毎年お月見ができると良いな、と思って。」と。
そして兄夫婦は、毎回帰省するたび、父の好きなコーヒーをお土産に持たせてくれます。
どうしても母ばかりに気が向く中、父への配慮がありがたかったです。
そんな周りの気遣いをいつもありがたがっていた母。
小さい容器の甘酒でしたが、何度かに分けて飲んでいました。
何が功を奏し、逆に何が足りていなかったのかは知り得ません。
それでも傍らで見ていて感じたことは、そんな周囲の思いは、孤独な戦いを続けていた母をひとときでも笑顔にさせてくれた、ということです。
「思う」ことや「祈る」ことは、とても大切なことなんだな、ということを教えてもらいました。